今回ご紹介するのは、好決算を起点に発生する株価上昇のモメンタムを捉え、機関投資家の本格的な買いに合わせて利益を最大化させる「決算モメンタム投資法」です。
この手法は、単なるギャンブルではなく、機関投資家の行動原理や企業のファンダメンタルズの変化を論理的に攻略するスタイルです。その具体的なステップを解説します。
1. 事前準備:シーズンの「テーマ」を見極める
決算シーズンが始まる前に、まずは「どの業界が今絶好調なのか」をリサーチします。
- 見込みのある業界に資金を集中させる そのシーズンに資金が集まりそうなテーマを見極めます。期待薄な業界の銘柄には手を出さない、あるいは投資比率を下げることで、効率的な運用を目指します。
2. 銘柄選定:機関投資家が好む「時価総額300億」の壁
ターゲットにするのは、個人投資家のマネーゲームで終わらない銘柄です。
- 時価総額300億円以上が理想 機関投資家(中小型株ファンドなど)がポートフォリオに組み入れを検討し始める一つの目安が時価総額300億円です。ここに満たない超小型株よりも、本格的な買いが期待できる規模を狙います。
- 引け後のPTS(私設取引システム)をチェック 決算発表当日、15時以降のPTSランキングを上位から確認します。市場がどう反応したかをダイレクトに反映しているため、最良のスクリーニングツールになり、良さそうだなと思った銘柄の決算短信で今期の業績予想と上方修正の理由をチェック。
3. チャート分析:爆発寸前の「ヨコヨコ」を探す
数字が良くても、すでに株価が上がりすぎているものはリスクが高くなります。
- 理想の形は「ヨコヨコ」か「緩やかな上昇」 決算前に過熱しておらず、パワーを溜めているチャートが理想的です。
- 新高値更新間近なら大チャンス 直近の抵抗線を抜ける直前の銘柄は、決算をきっかけに一気に上放れする可能性が高いです。
【理想】決算モメンタム発生のイメージ
4. 決算短信の精査:数字よりも「変化の質」
増収増益は大前提ですが、それだけで買ってはいけません。以下の「中身」を厳しくチェックします。
- 材料に「新規性」があるか? 新商品や新サービスの好調など、企業にとって新しい成長の柱が立っているかを確認します。
- 「継続性」のある理由か? 大型案件の単発受注といった一過性の要因ではなく、経営改革、事業のテコ入れ、価格転嫁(値上げ)の浸透など、来期以降も業績向上に繋がりそうな変化を探します。
- 決算前の注目度が低いほど良い すでに誰もが知っている有名な好業績銘柄は、決算が出た瞬間に「材料出尽くし」で売られるリスクがあります。少し地味だが中身が劇的に良くなっている銘柄が「お宝」です。
5. エントリー:機関投資家の「タイムラグ」を突く
良い銘柄を見つけても、焦って初日に全額投入しません。
- 2〜3日に分けて買う 一度に買わず、数回に分けてポジションを作ります。
- 機関投資家の稟議期間を狙う 機関投資家は、好決算を見てから社内の会議や稟議を経て「買い」を執行するまでに、2〜3日のタイムラグが生じることが多々あります。この「遅れてくる巨大な買い」の波が本格化する前に仕込みを完了させます(遅くとも1週間以内)。
決算モメンタム:仕込みのタイムライン
PTS・短信チェック
モメンタムの発生
本格的な買いが流入
利益が乗れば継続
6. 出口戦略:徹底した損切りと利益の最大化
この手法の勝率は2割程度を想定しています。それでも勝てる理由は、徹底した資金管理にあります。
- 勝率のイメージは「2勝・6分・2敗」
- 2割: 利益を徹底的に伸ばす(中長期銘柄へ昇格)
- 6割: 買値周辺で同値撤退(トントン)
- 2割: 損切り
- 損切り・撤退の鉄則
- 5%以内で必ず損切り。
- 含み損2〜3%で一旦切り、上がり始めたら買い直すのもアリ。
- 買ってから1週間で利益が出なければ即売却。
- 上昇トレンドやモメンタムが崩れたと判断したら売る。
- 中長期への昇格 上昇トレンドが継続する銘柄は、無理に売らずに「中長期保有」へ切り替え、利益を最大化させます。
理想の勝率イメージ(2:6:2)
決算モメンタム投資法フローチャート
kenmo流 決算モメンタム投資法 プロセスフロー
- PTSの上昇ランキングから市場の反応が良い銘柄をチェック
- 機関の買いが期待できる時価総額300億円以上が理想
- チャートが「ヨコヨコ」または「緩やかな上昇基調」か確認
材料に「新規性」があるか、来期以降も続く「継続的な変化」かを確認。
決算発表から2〜3日に数回に分けて分散エントリー(遅くとも1週間以内)。
※トントン6割・損切り2割想定
※この2勝でトータル利益を出す
まとめ:投資の「引き出し」の一つとして
今回は、決算発表シーズン特有の資金のうねりを利用した「kenmo流決算モメンタム投資法」について解説しました。
改めて振り返ると、この手法の要点は以下の通りです。
- 決算短信の「数字」だけでなく「変化の質」を見極める
- 機関投資家の稟議にかかる「2〜3日のタイムラグ」を狙う
- 勝率2割の大勝ちで、残り8割のコスト(同値撤退・損切り)をカバーする
株式投資の世界において、万人に共通する「絶対に勝てる正解」というものは存在しません。この手法も、含み損5%以内での容赦ない損切りや、1週間で見切るというシビアな資金管理が求められるため、ご自身の性格や投資スタイルによって向き不向きがあるはずです。
しかし、「機関投資家の買いが遅れて入ってくる仕組み」や「損小利大を前提とした資金管理」という考え方は、相場を生き抜く上で非常に強力な武器になります。
まずは次の決算シーズンに、PTSのランキングや時価総額300億円以上の銘柄のチャートをこの視点で観察してみてはいかがでしょうか。
「あ、本当に2〜3日後から出来高が増えて勢いがついたな」という発見があれば、ご自身の投資の「手札の一つ」として、この手法を組み込んでみてもいいかもしれません。
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