今回は、人気投資家kenmo氏の書籍でも紹介されている「株主優待需給投資法」について考察
株主優待銘柄は、ただ優待を受け取るだけではありません。優待という「人気」から生まれる株価の規則的な動きに着目した、少し変わった視点の手法をご紹介します。
株主優待需給投資法とは?
この手法の最大のポイントは、「株主優待を受け取らずに、権利確定日前の株価上昇を狙って売却する」ことです。
人気の優待銘柄は、権利確定日が近づくにつれて「優待が欲しい」という買いが集まり、株価が上昇しやすい需給の偏りがあります。権利確定日の翌日の権利落ち日には、優待や配当の価値分だけ株価が大きく下落することが多いですが、その前に売ることで、この下落リスクを回避しながら値上がり益を確保します。
一攫千金を狙うような派手な手法ではありませんが、需給の歪みを利用した投資法の一つとして知られています。
失敗しない銘柄選びのポイント
この手法では、以下の4つの条件で銘柄を厳選することが基本とされています。
- 過去のチャートで権利前に上昇しているか 過去数年分のチャートを確認し、権利確定日に向けて株価が上がる傾向(アノマリー)が実際にある銘柄を選びます。これがこの手法の前提となる最も重要なチェックポイントです。
- 業績は順調か 業績悪化は優待廃止や改悪の最大のリスクです。必ず業績が安定・拡大している企業が対象となります。
- 業界全体が好調か その企業だけでなく、属するセクター全体に勢いがあると、株価上昇の確度が高まるとされています。
- 【厳守】右肩下がりのチャートは絶対に避ける 長期トレンドが右肩下がりの銘柄は、優待需要よりも売り圧力が強いため、この手法には向かないとされています。
実践的な売買タイミング
「相場が冷えている時に静かに仕込み、盛り上がったところで手放す」のが基本サイクルです。
- 買い時:権利確定日の3〜6ヶ月前 優待がまだ先で、相場が調整して株価が安くなっている時期に仕込みます。一度仕込んだら、途中の小さな上下に一喜一憂せず、どっしりと構えるのがコツです。
- 売り時:権利確定日の2週間〜1ヶ月前 優待需要で株価が高まったタイミングで売却します。もし途中で急騰する場面があれば、その時点で早めに利確するのも一つの手です。
ターゲットになりやすい人気銘柄
kenmo氏の書籍内でも、この手法のターゲットになりやすい具体的な銘柄として、以下の5つが例に挙げられています。(※購入時期はそれぞれの権利確定月から逆算します)。
- 東映アニメーション(3月権利確定)
- バンダイナムコホールディングス(3月権利確定)
- 吉野家ホールディングス(2月・8月権利確定)
- 日本マクドナルドホールディングス(6月・12月権利確定)
- すかいらーくホールディングス(6月・12月権利確定)
リスク管理と損切りについて
比較的安定した投資法であるため、日々の細かな株価の上下に対して明確な損切りライン(〇%下落で売却など)は設定しません。
ここは個人的な意見ですが、「優待の廃止・改悪」や「企業の不祥事」といった決定的な悪材料が出た場合には、速やかに損切りを行う必要があると考えます。
また、いかに理にかなった手法であっても1つの銘柄に資金を集中させるのは危険なため、必ず複数の銘柄に資金を分けて投資(分散投資)することが必須条件となります。
株主優待需給投資のフローチャート
株主優待需給投資法 プロセスフロー
- 過去数年のチャートで権利前に上昇するアノマリーを確認
- 業績が安定・拡大傾向にあるか(優待改悪リスクの排除)
- 【厳守】長期トレンドが右肩下がりの銘柄は絶対除外
※個別リスクを避けるため必ず複数銘柄に分散投資する。
※急騰時は早めの利確も可
本手法の考察
この手法の最大の面白さは、「個人投資家の優待に対する執着」という人間心理と、それに伴う「需給の歪み」を合理的に突いている点にあります。優待の権利を取らずに直前で売却することで、多くの人が被る「権利落ちの暴落」を回避できるのは、非常に理にかなったアプローチです。
大きな値上がりを狙う手法ではなく大きな資金を安定して増やす投資法であると考えます。
一方で、注意すべき点も多々あり、過去のチャートで上昇傾向があったからといって今年も同じように上がるとは限りません。相場全体の地合いが悪ければ優待人気に関わらず株価は下がりますし、仕込みから売却まで3〜6ヶ月ほど資金が拘束されるため、資金効率が良いとは言えない側面もあります。
投資には様々な手法が存在し、相場環境によって機能するかどうかも変わる。「株主優待=もらうもの」という固定観念を捨て、市場の規則性や心理を利益に変えるアプローチとして、知識の引き出しに入れておく価値は十分にある戦略だと考えます。
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